人類補完計画、ゼーレの場合

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ブロッコリーキャラクタースリーブ ヱヴァンゲリヲン新劇場版 「SEELE」

 

 

ゼーレの人類補完計画のシナリオ

 

ゼーレは元々宗教団体で,はるか昔からから世界を裏で操っている秘密結社といわれている。

 

「ゼーレ」はドイツ語で「魂、霊魂、精神」って意味。

 

ゼーレは宗教に基づく調査の結果「裏死海文書」を発見するに至る。

 

現実レベルで「裏死海文書」が存在するかどうかは定かではないが「死海文書」は存在する。

 

「死海文書」とは1947年に死海の各地で発見された写本群の総称のことである。

 

この「死海文書」は 聖書聖典、外典、賛美歌、ただの手紙や戦いの書

 

宝のありかなどの記載もあり、発掘場所も内容も多岐に渡っていて研究が続けられているがいまだ解明には至っていない。

 

さらにこの死海文書の戦いの書の記述にあるようなことが実際に起こっているということもあって,予言の書という見方もあるようだ。

 

エヴァンゲリオンに出てくる「裏死海文書」が予言書であることもなにかうなずける。

 

ゼーレは 使徒の襲来などを予言を記した「裏死海文書」を発見したこで 宗教的観点から「裏死海文書」の予言通りに、人類の原点回帰を計画していく。

 

最初の使徒であるアダムを南極で発見し、セカンドインパクトを引き起こして世界を大災害に巻き込んでいき、ネルフの前身であるケビルンを設立、

 

国連内にも人類補完委員会を設立して国連主導の世界構築をして使徒の襲来に備えようとする。すべては「裏死海文書」に基づくシナリオで人類補完計画が進められていく。

 

ちなみに新劇場版では「裏死海文書外典」なんて呼ばれているので、創世記外典ともリンクしてるとも考えられる。

 

エヴァンゲリオンの使徒の名前は 創世記正典ではなく創世記外典に記述があるものばかりだから。

 

旧約聖書外典(下) (講談社文芸文庫)

 

ゼーレの人類補完計画とは原罪からの解放

 

ゼーレは元々宗教団体っだったことから裏死海文書の発見により、その宗教的理念に基づき不完全な人類を完全なるものへとするため人類の原点回帰をもくろむことになる。

 

人類の原点回帰とは原罪からの解放にほかならない。

 

原罪とは、人類は不完全で生まれながらにして罪があるということ、これは聖書でも言っている。現実社会では法に触れるようなことをしなければ罪に問われることはないと思うが、聖書では心の中の悪い思いや考え、良心が痛むようなことも罪になってしまう。

 

原罪のルーツは創世記のエデンの園、アダムとイブの物語になる。創世記3章に エデンの園にいるアダムに、「あなたは、園のどの木からでも思いのまま食べてよい。

 

しかし、善悪の知識の木からは取って食べてはならない。それを取って食べるとき、あなたは必ず死ぬ」と命じた。

 

どの木の実を食べてもよかったのだが「善悪の知識の木」だけは食べてはいけないと言っている。

 

この「善悪の知識の木」は神に対して忠実であるかどうかをテストするための木だったといわれている。

 

そこで同じエデンの園にいるエバに対してサタンが誘惑することになる。

 

サタンがエバを誘惑した方法は、「これを食べれば、あなたも神のようになる」という誘い文句で、エバは「食べてはいけない」と言われていたものを食べ、次に夫のアダムにも与え、アダムもそれを食べてしまった。

 

聖書で罪の本質は 何が善で何が悪であるかは自分で決めるという態度は、自らを神とすることで「神への反抗」ということになるようだ。

 

つまり最初の人類、アダムとイブの子孫はすべて同じ罪を持つことになる。

 

ゼーレはこの罪自体を払拭しようと生命の源に帰る計画している。そのためのは不完全なものを完全になものにする必要がある。

 

エヴァでは、リリスから生まれた人類は知恵の実しか持っておらず、アダムから生まれた使徒は生命の実しか持っていない。

 

どちらも不完全だから、知恵の実と生命の実を両方持っていれば完全になり、原罪からも解放されると考えている。

 

ゼーレのセリフに
「肉体を捨て、全ての魂を一つに」
と言っているのがあるが、そのための行為がサードインパクトなどを起こすことで達成できると信じている。

 

人類がLCLとなり「ガフの部屋」に戻り、初めから完全なる生命体として生まれ変わる。エデンの園でアダムとイブの行為により原罪を負うことになった人類だが、罪を犯さなかったキリストの十字架の死により罪が贖われるとされている。

 

このためゼーレにとっては、サードインパクトを起こすためのロンギヌスの槍がとても重要なアイテムになる。

 

ただ人類がLCLとなり「ガフの部屋」に戻った時に、ゼーレの思惑通りになるのかはいささか疑問が残る。

 

LCLは生命のスープで、完全にLCLに溶けてしまえば自我境界線(ATフィールド)が無くなってしまう。

 

自分と他人の境界線が無くなり個体としての自我を失うことになり、すべてを包括した単一意識になると思われるから、当然争い事や喜怒哀楽といった感情も認識できないと考えられる。

 

この状態になれば原罪は無くなるとはいえ、ゼーレの意図するものなのかは定かではない。

 

そして、すべてを包括したままの完全体で、生命をもって生まれてくることができるのかと言えば、個体となった瞬間には もう分離状態になるので、ゼーレの意図するところの原罪は無くならない。

 

こう考えると 
ゼーレはゲンドウとは違い 生命体として生まれてくることはなくてよい、すべてを包括した単一意識になることを目指していたと考えられる。

 

聖書に見る人間の罪―暗黒に光を求めて (光文社文庫)