人類補完計画、碇ゲンドウの場合

碇ゲンドウの人類補完計画のシナリオ

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碇ゲンドウの所属するネルフはその前身はケルビンであるが、そのケルビンを設立したのが元々は宗教団体で、 はるか昔から世界を裏で操っていゼーレであるということ。ゼーレは国連主導に見せかけるために 国連内に人類補完委員会を設立させたりしているが、ネルフも同様にゼーレの人類補完計画を進めるための機関である。

 

ちなみに「ケルビン」とはドイツ語で「脳」という意味。ネルフとは国連直属の非公認軍事組織であって正式名称は「国際連合直属非公開組織特務機関NERV」もちろん使徒殲滅に関する戦闘部隊ということになり、国家を超えた権限を有している。「国際連合直属非公開組織特務機関NERV」の基地最高司令官は碇ゲンドウで副指令は冬月コウゾウになる。

 

ゲンドウは非常に有能な策謀家であるため 特務機関ネルフの活動とエヴァンゲリオン運用に関するすべての権限を、人類補完計画を進める秘密結社ゼーレから与えられている。ネルフの裏にも国連の裏にもゼーレありってことになる。ネルフは表向きは使徒殲滅のための組織だが 実際には国連の背後にいるゼーレが人類補完k離隔を実行するための組織になる。

 

エヴァパイロット選出を目的とするマルドゥック機関や、L.C.Lの研究をする外資系のケミカル会社、その他多数の下位組織がネルフに属していて、そのすべてをゲンドウが指揮し統括している。そして碇ゲンドウの年齢は48歳、シンジの父親でもある。

 

人類補完計画について、ゼーレの目論見とゲンドウの目論見は違ってみえるが 人類補完計画のためには、○○インパクトを起こすことが必須条件なのは同じだ。そのためゲンドウは ゼーレをもうまく利用して主導権をにぎり○○インパクトを起こそうと計画している。
 

 

碇ゲンドウの人類補完計画とは、ユイにもう一度会うこと

 

ゲンドウはエヴァンゲリオン初号機プロトタイプの稼働実験の際に失われた妻の碇ユイに会うことを目的としている。

 

秘密結社ゼーレが計画する人類補完計画は「裏死海文書」に基づくシナリオだが、ゼーレは{第弐拾伍話 終わる世界 / Do you love me?}で
「神もヒトも全ての生命は死をもって、やがて一つになるために」と言っている。

 

一方でゲンドウは{第弐拾六話 まごころを、君に}で
「ユイと再び会うにはこれしかない」
「不要な体を捨て、全ての魂を今一つに。そして、ユイの元へ行こう」という言い方をしている。



どちらも同じようだが、ゲンドウは、神または神と同等の存在になってユイと再会したかった。ゼーレはそんなゲンドウの思惑を知っていたから{第弐拾壱話・第21話 ネルフ、誕生}で
「我々は、新たな神を作るつもりはないのだ」
「我々に具象化された神は不要なのだよ」
「神を造ってはいかん」
「ましてあの男に神を手渡すわけにはいかんよ」と言っている。

 

すべての魂が一つになって、自分と他人の境界線が無くなり個体としての自我を失うことになると、ユイと再会するというより、ユイとも一つになってしまう。ゲンドウはユイとひとつになることより、あくまでもこれが自分だという認識を持ったままで、ユイと再会することを望んでいる。

 

そのために ゼーレ上層部を欺き、自分の同僚や部下、息子のシンジまで犠牲にしてもかまわないという覚悟がある。加持から横流しされたアダムを手に移植しているのもそのひとつだが、移植に関してはどのようにされたかは明確になっていない。

 

アダムを移植し自分自身に取り込んで、綾波レイというリリスのクローン体と融合し、エヴァ初号機を使ってサードインパクトを引き起こし、神と同等の存在になりユイと再会することが目的だった。

 

ではなぜそこまでユイに執着するのかという疑問もでてくる。
ユイをそれだけ愛していたからといえばそれまでだが ユイとの関係性を考えれば見えてくるものもある。 

心の執着を超えて―癒しと自己成長のイメージワーク トランスパーソナル・アプローチ

 

ゲンドウがすべてを犠牲にしてまでユイに執着する理由はとは

 

ネルフの目的は人類補完計画で ゲンドウはそこの最高司令官であり人類を補完するためと言っているが、彼自身はあくまでもエヴァンゲリオン初号機プロトタイプの稼働実験の際に失われた妻の碇ユイに会うことが、一番の目的になっている。

 

ゲンドウにとってはゼーレも息子のシンジでさえも 利用するに値するひとつの駒でしかなかった。ユイへの執着の要因ではないかというセリフがある。


「ユイは自分にとっての光だった」これはコミック版でゲンドウ自身が語っている。
「お前なら、私の気持ちがわかるだろう。絶望しかないこの世界を」これはコミック最終巻
「あら、冬月先生、あの人はとてもかわいい人なんですよ。みんな知らないだけです」第弐拾壱話

ゲンドウにとってユイは 自分自身を受け入れてくれた唯一無二の存在だった可能性が高い。ユイのいない世界は絶望でしかない。ゲンドウはシンジに「お前なら、私の気持ちがわかるだろう。絶望しかないこの世界を」と言っている。

 

そしてユイは冬月先生に対して「あら、冬月先生、あの人はとてもかわいい人なんですよ。みんな知らないだけです」と言っている。ユイはほかの誰も知らないゲンドウの一面を知っているから「かわいい人」という言い方をしている。

 

ゲンドウにとって生まれて以来誰にも受け入れられず理解されたことがなければ 卑屈になったり冷酷になったりするのもうなずける。人生楽しいことなんてありもしないだろうに 生きていること自体絶望にもなるだろう。

 

そんな時 唯一受け入れてもらえた相手がユイだった。
こうなると「ユイ=光」「ユイ=すべての世界」になってしまった。
人の心理とは悲しくもあり恐ろしくもあるのかもしれない。

超機密 新世紀エヴァンゲリオン 最終報告書

 


「ユイは自分にとっての光だった」というのも、ゲンドウはさらにその先を見ているのかもしれない

 

「ユイ=光」「ユイ=すべての世界」というのは、単純に考えれば"好き"又は"愛している"と受け取れるが、別の見方をすれば、その先にもっと別の目的があって、その目的のためにユイを欲していたとも考えることが出来る。

 

ゼーレの言う
「我々は、新たな神を作るつもりはないのだ」
「我々に具象化された神は不要なのだよ」
「神を造ってはいかん」
「ましてあの男に神を手渡すわけにはいかんよ
これらのセリフは、ゲンドウが具現化された神になることを目指していると受け取れるが、ゲンドウが本当に具現化された神を目指すためにはユイが必要不可欠だったとも考えられる。

 

ゲンドウが真の目的達成のためにユイを必要としていたら「ユイは自分にとっての光だった」というセリフもうなずける。

 

初号機に取り込まれているユイと会うことで、ゲンドウにとっての目的が達成されるとしたら、自分の子どもであるシンジに対しての本当に親子なのかと思える態度も、その他は全てコマのように考えているだろうことも、何となく合点がいく。

 

ゲンドウの真の目的が、達成されるかどうかも気になるところだが、本気で神になろうとしていて達成可能と考えているならば、その揺るがない信念とコミットメントはどのようなものなのか?ただ本気で信じているだけなのか?気になるところだ。

写言瞑想―人生の目的を達成するために