ゲンドウの冷静さは、その先の人類補完を見据えている

 

エヴァンゲリヲン新劇場版:序より

 

使徒ラミエル(RAMIEL)接近

 

 

ゲンドウの冷静沈着さは崩れることがない

 

青葉  
「目標は芦ノ湖上空に侵入」

日向  
「エヴァ初号機 発進準備よろし」

ミサト 
「発進」

青葉  
「目標内部に高エネルギー反応」

ミサト 
「なんですって!」

リツコ 
「まさかっ!」

ミサト 
「よけてっ!」

シンジはミサトの言葉にハッとするけど遅かった。やられてしまう。シンジは叫ぶ。

シンジ 
「うわ~ぁ あ~イヤだっ! もうヤだっ! こっから出してよ、出してよ父さん!」
恐怖でシンジは叫び続ける。

ミサト 
「作戦要綱破棄、パイロット保護を優先、プラグを緊急射出して!」

この緊迫した場面で ゲンドウは相変わらずいたって冷静だ。
ゲンドウ
「駄目だ!」

ミサト 
「えっ」 
そりゃミサトは驚くよ。だけどリツコは冷静だ。

リツコ 
「今パイロットを失うと、エヴァのATフィールドは完全に消失してしまう。もっとも憂慮するべき事態となるわ」

ミサト 
「しかし・・・」

シンジは叫び続けるしかない。

ミサト 
「やむ得ないわ、機体を強制回収ノットインボルトに点火して」

エヴァを強制回収すれば、使徒からの攻撃は取り合えず終わる。
まあ使徒の目的は、ドグマのリリスだから。

 

シンジがエヴァに乗り発進しようとしたら、ドグマのリリスを狙っている使徒にとっては、邪魔でしかないから攻撃してくるのは当然だ。

 

ミサトは「よけて!」と叫ぶけど、間に合わない。シンジはあっという間にやられてしまうし、その恐怖たるや想像を絶するだろうし、叫ばずにはいられない。


ミサトは焦って「作戦要綱破棄、パイロット保護を優先、プラグを緊急射出して!」って言うけど、この時のゲンドウの冷静さったら半端ない。

 

だいたいエヴァに乗ってるのは自分の息子なのに、これほどまでに焦ることもない、ってどうなん?とも思えてしまう。ミサトの言葉に間髪入れずに、「駄目だ!」即答する。

 

ミサトは驚くばかりだけど、ここでリツコもシビアだ。プラグを緊急射出するとエヴァのATフィールドは完全に消失してしまう。

 

もっとも憂慮するべき事態だと。まあリツコも私生活は謎が多いからなんともいえないけど、ゲンドウと似たところがあるのかもしれない。

 

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人は無意識のうちに、自分の満たされていない部分を満たしてくれる人に好意を寄せる

 

それにしてもゲンドウは冷静沈着すぎる。

 

ただ単に愛情がないのか、子どもを道具としか見ていないのか。でもシンジに、エヴァに乗ることを強制しているわけじゃない。

 

単純に、道具としてだけ見ているともいいきれないだろう。

 

じゃあ愛情自体がないのか?とは言っても、ユイのことはそうとう好きだったわけで、愛情自体が欠落しているなら、ユイに好意を持つこともなかっただろう。

 

ただ人を好きになるということは、いろいろな側面があるから何とも言えない。

 

寂しさを埋めてくれる人が現れれば それだけで満たされた感じがして好きになるかもしれないし、自分で決めることに自信がなければ なんでも決めてくれる人が頼もしく思えて好きになるかもしれない。

 

ゲンドウのユイに対する執着をみてると、ユイはゲンドウの何かを満たしてくれた人なんだろう。ただ2人の詳しい生い立ちや生育環境は描かれていないから、ゲンドウとユイがお互いの何に惹かれていたのかは定かではない。

 

ただゲンドウにとってユイは、ゲンドウをそのまま受け入れてくれた唯一の人だったろうとは想像がつく。 

 

どうしても「心が満たされない」人たち

 

ゲンドウにとって壮大な「人類補完計画」を遂行するためには、自分の子どもであるシンジに対してさえも司令官としてあり続ける

 

ゲンドウは人類補完計画で神に等しい力を手に入れたいと思ってるわけだし、ゲンドウの考える人類補完計画が完成すれば、人類が新しい段階に進化することになる。

 

(ゲンドウの人類補完計画と、ゼーレの人類補完計画は少し意味が違うけどここではふれい。)


神に等しい力を手に入れて、人類が新しい段階に進化すれば、欠けた心は補完されるから、今の状況はどうなろうとたいした問題ではないと考えているのかもしれない。

 

ゲンドウの思惑通りにことが進めば、全ては補完されることになり、そんな壮大な計画からみれば、子どものことなど取るに足らないことなのかもしれない。

 

ゲンドウの心もそうだけど、人の心は頭で考えるように理路整然とはいかない。持って生まれた性質みたいなものもあるだろうし、生まれてから培ったものもある。それらが複雑に重なり合ってい自分というものを形成していく。


特にこの3次元の世界は分離の世界は、善と悪、上と下、左と右、自由と束縛、本音と建前、ポジティブとネガティブ、意識と無意識etc全てに あっちとこっちがあり、心の中もご多分に漏れずどちらも持ってるってことになる。

 

分離の世界はコインの裏表ってことだ。

 

矛盾するふたつの性質を持つのが、生き物「人」ってことなんだろう。矛盾しているものを共有しているのであれば、どちらか一方を排除するのは不可能だ。

 

それを無理矢理排除しようとすれば、どこかでひずみが出るのかもしれない。ココロは全てを包括している。

 

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