ヴィレの中でシンジ自身にできる選択は、ヴィレに残るか綾波とヴィレを去るかの2択


エヴァンゲリヲン新劇場版:Qより


リツコに
「検査結果に問題ないので返還しておきます」と言われ

 

ミュージックプレーヤーを手にしたとき
「父さんの・・・あの時 綾波が持っていた・・・やっぱり助けたんじゃないか」
とシンジが思ったとき

 

 

ヴィレに回収され混乱するばかりのシンジに、綾波のの呼びかけは救いに等しい

 

シンジ
「何だ?」

ミサト
「私です」

日向
「目標 後甲板です。いきなり取りつかれました」

ミサト
「本命のお出ましか」

マリとアスカが出撃準備中

シンジ
「ミサトさん リツコさん、一体 何が来たんですか!?新しい使徒ですか?」

レイの声
「イカリ君 どこ?」

シンジ
「綾波?今の綾波の声ですよね?ミサト・・・うっ 何なんだよ もう!!」

サクラの問いかけを無視

レイの声
「イカリ君 どこ?」

シンジ
「やっぱり綾波だ、うっ 綾波ですよ!」

サクラにせかされるシンジだが

シンジ
「ハァ もういいよ、綾波!ここだっ!」 

爆音の後に
シンジ
「エヴァ?零号機?」

レイの声
「イカリ君 こっちへ」

ミサト
「ダメよ シンジ君、ここにいなさい」

シンジ
「なんだよ ミサトさん  さっきまで"いらない"って言ってたじゃないか!」

ミサト
「しかし 身柄は私たちで保護します」

シンジ
「そんなの勝手すぎですよ!やめてください 相手はエヴァですよ!」

ミサト
「だからこそよ ネルフのエヴァは全て殲滅します」

シンジ
「ネルフの?ここもネルフじゃないですか!」

ミサト
「私たちはヴィレ ネルフ殲滅を目的とする組織です」

シンジ 
「そんな・・・いや でも乗っているのは綾波なんですよ!」

ミサト
「違うわ レイはもういないのよ シンジ君」

シンジ
「ウソだ!!だって ここにいるでしょ! ミサトさんのわからずや もういいよっ!」

サクラ
「イカリさん 勝手もいいですけど エヴァにだけは乗らんといてくださいよ、ホンマ 勘弁してほしいわ」

シンジは綾波とともに行ってしまうが、ミサトはDSSチョカーをうてない。

 

ミュージックプレーヤーを手にして、綾波の声を聞いてしまい
「エヴァ?零号機?」となれば、シンジにとっては唯一の救いのように感じただろう。

 

ミサトの言う
「ネルフのエヴァは全て殲滅します」「私たちはヴィレ ネルフ殲滅を目的とする組織です」
も、シンジにとっては何も理解ができない。

 

ミサトやアスカ達にとっての14年と、シンジにとっての14年はあまりにも違い過ぎる。

 

シンジにとっての14年は、何も変化がないのだから仕方がないとはいえ、納得できる材料があまりにも少なすぎる。

 

納得したくても、何も納得できないのがシンジにとっての現実だ。

 

こんなはずじゃなかった―自分探しの奮闘記

 

ミサトもジレンマを抱えどうにもできない

 

ミサトがどんなに言葉を尽くして説明しても、シンジにとっては何も納得できないだろう。

 

ミサトもそれは分かっているだろうし、それでもなんとかシンジを保護しようとしているから、シンジがアヤナミとともにヴィレを去ってしまっても、DSSチョカーをうてない。

 

ミサトにしてみれば、何とかシンジを助けたいだろうし、シンジの気持ちも思いやりたいだろうけど、シンジには

 

「ウソだ!!だって ここにいるでしょ! ミサトさんのわからずや もういいよっ!」と言われてしまう。ミサトにとってもどうにもできない現実だ。

 

「がんばっているのに、うまくいかない」と凹んだときに読む本

 

どうにもできない現実の中で、人は自分が納得できる方向にしか進めない

 

もし自分が眠りから目覚めたとき、14年もたっていて周りの状況が激変していたらそんなこと信じないだろうし、夢の続きではないかとさえ思ってしまうだろう。

 

たとえそれがシンジほどの状況ではなくても、信じることは難しいと容易に想像できる。

 

自分の置かれている現実の中で選択肢が多ければ、自分の好きな方向や興味のある方向に進むこともできるが、シンジの場合はヴィレに残るか、綾波とともにヴィレを去るかの2択しかない。

 

何も納得できないままヴィレに残れば保護はしてもらえるだろうが
「身柄は私たちで保護します」と言われても

 

なぜ保護されるのかさえわからないままだ。何もわからないままの場所にとどまることは、シンジにとって納得できるものではない。

 

綾波の声を聴きてしまえば、綾波はいるじゃないかと思うのは当然だし、やはりあの時自分は綾波を助けたんだと

 

自分の記憶が間違っていなかったことに安心する。ミサトたちを信じられなければ、自分を信じるしかなくなる。

 

シンジのこの状況では、何が正しいとか何が間違っているとかの判断も出来るわけもなく、結局は自分が少しでも納得できる方向へ行こうとするのは心理として当然だ。

 

ただ、このシンジの状況は本当にしんどい。仕組まれている感が否めない。

 

自分を信じるということ ありのままで生きる