零号機の暴走はリツコの母赤城ナオコの意思なのか

 

エヴァンゲリオン TVシリーズ

第壱拾四話「ゼーレ、魂の座より」

EPISODE14:WEAVING A STORY

 

機体交換テスト

零号機に乗る碇シンジ

 

 

前回の暴走事故、レイの時と同じなのか?

 

マヤ
「第一次接続開始」

リツコ
「どう、シンジ君。零号機のエントリープラグは?」

シンジ
「なんだか、変な気分です」

マヤ
「違和感があるのかしら?」

シンジ
「いえ、ただ、綾波の匂いがする…」

アスカ
「何が匂いよ、変態じゃないの?」

マヤ
「データ受信、再確認。パターングリーン」

オペレータ
「主電源、接続完了」

オペレータ
「各拘束具、問題なし」

リツコ
「了解。では、相互間テスト、セカンドステージへ移行」

マヤ
「零号機、第2次コンタクトに入ります」

ミサト
「どう?」

リツコ
「やはり初号機ほどのシンクロ率は、出ないわね」

マヤ
「ハーモニクス、すべて正常位置」

リツコ
「でもいい数値だわ」

リツコ
「これであの計画、遂行できるわね」

マヤ
「ダミーシステムですか?先輩の前ですけど、私はあまり…」

リツコ
「感心しないのは分かるわ。しかし備えは常に必要なのよ。人が生きていくためにはね」

マヤ
「先輩を尊敬してますし、自分の仕事はします。でも、納得はできません」

リツコ
「潔癖症はね、辛いわよ。人の間で生きていくのが。汚れた、と感じたとき分かるわ。それが」

マヤ
「…」

オペレータ
「第3次接続を開始」

マコト
「セルフ心理グラフ、安定しています」

アスカ
「どーぉ、シンちゃん、ママのおっぱいは!それともおなかの中かなぁ?」

リツコ
「アスカ、ノイズが混じるから邪魔しないで」

アスカ
「はいはい!」

アスカ
「何よ、みんなしてシンジばっかり甘やかしちゃってさぁ…」

リツコ
「A10神経接続開始」

マヤ
「ハーモニクスレベル、プラス20」

シンジ
「!?…何だこれ、頭に入ってくる…直接…何か…」

シンジ
「綾波?綾波レイ?綾波レイだよな、この感じ…綾波…違うのか…?」

ミサト
「どうしたの!」

オペレータ
「パイロットの神経パルスに異常発生」

マヤ
「精神汚染が始まっています!」

リツコ
「まさか!このプラグ深度ではありえないわ!」

マヤ
「プラグではありません、EVAからの侵蝕です!」

マヤ
「零号機、制御不能!」

リツコ
「全回路遮断、電源カット!」

マヤ
「エヴァ、予備電源に切り替わりました」

オペレータ
「依然稼働中」

ミサト
「シンジ君は?」

マコト
「回路断線、モニターできません!」

リツコ
「零号機がシンジ君を拒絶?」

マヤ
「だめです、オートエジェクション、作動しません!」

リツコ
「また同じなの?あの時と。シンジ君を取り込むつもり?」

ミサト
「レイ、下がって!」

マヤ
「零号機」

ミサト
「レイ!」

マヤ
「活動停止まで、後10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、0!」

マヤ
「零号機、活動を停止しました」

ミサト
「パイロットの救出急いで!」

ミサト
「まさか、レイを殺そうとしたの?零号機が…」

ミサト
「この事件、先の暴走事故と関係があるの?あのレイのときと」

リツコ
「今はまだ何も言えないわ。ただ、データをレイに戻して、早急に零号機との追試、シンクロテストが必要ね」

ミサト
「作戦課長として、火急的速やかにお願いするわ。仕事に支障が出ないうちにね」

リツコ
「分かっているわ。葛城三佐」

リツコ
(零号機が殴りたかったのは、私ね。間違いなく)

 

次回 第拾伍話「嘘と沈黙」
友人が次々と結婚していく中、ひとり焦りを感じるミサト。
はたして加持との再会は ミサトの与えられたラストチャンスなのか。
(第拾伍話の予告ナレーション)

 

零号機エントシープラグの中でシンジが感じるものは「綾波?綾波レイ?綾波レイだよな、この感じ…綾波…違うのか…?」

 

違うと感じた瞬間 精神汚染が始まる。プラグ深度ではありえない状態で EVAからの侵蝕だ。前回の暴走事故 レイの時と同じような状態に陥る。

 

シンジの精神的不安定さがそうさせているのか?ただ この時のシンジはそんなに精神が不安定な状態ではない。

 

ならば 零号機による意思なのか?

 

リツコの(零号機が殴りたかったのは、私ね。間違いなく)というのは・・・・・

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零号機に封入されている魂は、赤城ナオコ

 

リツコの母 赤城ナオコは ゲンドウと愛人関係にあったが、ある日ゲンドウが連れてきた幼い綾波レイとの会話で ゲンドウの心の内を知り逆上する。

 

第21話「ネルフ、誕生」より

「ばあさん」

「ばあさんはしつこい、ばあさんは用済み」

 

ゲンドウがナオコ自身のことを このように言っている事実を レイの口から聞かされたことは ナオコにとって耐えがたい事であり 感情が爆発してしまう。

 

爆発し逆上した感情はレイに向かい「あんたなんか、死んでも代わりはいるのよ、レイ」と言い絞殺してしまう。この時のレイは一人目である。

 

その後 赤城ナオコは我に返り 投身自殺を図る。

この時 赤城ナオコの魂は 零号機に封入された。

 

「神に似せて造った」エヴァには 元々魂は宿らなかったため、人の魂を封入し パイロットがエヴァの中の魂と 自身の魂をシンクロさせ 起動させる仕組みになっている。


初号機のパイロットはシンジ、弐号機のパイロットはアスカ、いずれもエヴァに封入されている魂は母親の魂である。

 

零号機の魂は赤城ナオコで 綾波レイとは親子関係ではない。レイと零号機をシンクロさせるために レイを自分の子供だと誤認識させるプログラムが組まれたと考えられる。

 

ミサトの「まさか、レイを殺そうとしたの?零号機が…」と言うように 周りから見れば いかにもレイを殺そうとしたように見える。

 

だが リツコの(零号機が殴りたかったのは、私ね。間違いなく)という言葉から、実際の娘のことも忘れているわけではないと思われる。

自殺学入門―幸せな生と死とは何か

 

母である赤城ナオコの 娘リツコへの女としての嫉妬?

 

第弐拾四話「 最後のシ者」より

リツコ
「あなたに抱かれても嬉しくなくなったから。私の体を好きにしたらどうです!?あの時みたいに!」

 

リツコがゲンドウと愛人関係だったことは間違いなく 赤城ナオコの魂もそれを知っていたなら、零号機の暴走はとても腑に落ちる。

 

幼いレイにも負けたと感じ、娘のリツコにも男をとられてしまったら、女としての心情はボロボロになったのだろう。研究者としては素晴らしい才能があっても 女としての部分はどうしようもなかった。

 

実際に肉体をもって生きていれば 娘のリツコに対しても レイを絞殺した時と同じように出来たかもしれないし、ゲンドウを思いきりなじることも出来ただろうが、エヴァの中に魂があっても 自由に動くことはできない。
「暴走」という形をとるしか他に方法はない。

 

そうまでしても「許せない」という気持ちが強いことになる。自身の娘であるリツコまでも 手にかけようとするその嫉妬は どこからら生まれたものなのか?ただ認めてほしい、受け入れてほしいという以外の人の機微とは?

 

心が求めるものは 想像以上に計り知れないのかもしれない。 

機微
表面だけでは知ることのできない、微妙なおもむきや事情


嫉妬を消そうとして自滅する人と嫉妬感情を活かしチャンスをつかむ人とでは何が違うのか?: ─ 自分限定のゴールへ導く羅針盤(劣等感)─