シンジを思うミサトの葛藤。

 

エヴァンゲリオン TVシリーズ

第拾七話 「四人目の適格者」より

EPISODE17:FOURTH CHILDREN

 

米国ネルフ第2支部が S2機関実験中のEVA4号機と共に跡形もなく消滅

マルドゥック機関は 残るEVA3号機の搭乗要員フォースチルドレンの選出を急務とし、その決定は人々に捉え所のない不安と苛立ちを与える

何も知らないシンジの側で 四人目の適格者に選ばれていた彼の心に去来するものは
迫りくる悲劇を前に 夕暮れの学舎は静寂に包まれていた

 

 

ミサトの複雑な心情

 

キール
「今回の事件の唯一の当事者である初号機パイロットの直接尋問を拒否したそうだな、葛城三佐」

ミサト
「はい、彼の情緒は大変不安定です。今ここに立つことが良策とは思えません」

委員
「では聞こう、代理人葛城三佐」

委員
「先の事件、使徒がわれわれ人類にコンタクトを試みたのではないのかね?」

ミサト
「被験者の報告からはそれを感じ取れません。イレギュラーな事件だと推定されます」

委員
「彼の記憶が正しいとすればな」

ミサト
「記憶の外的操作は認められませんが」

委員
「EVAのACレコーダーは作動していなかった。確認はとれまい」

委員
「使徒は人間の精神、心に興味を持ったのかね?」

ミサト
「その返答はできかねます。果たして使徒に、心の概念があるのか、人間の思考が理解できるのか、まったく不明ですから」

委員
「今回の事件には、使徒がEVAを取り込もうとしたという新たな要素がある。これが予測されうる第13使徒以降とリンクする可能性は?」

ミサト
「これまでのパターンから、使徒同士の組織的なつながりは否定されます」

委員
「さよう。単独行動であることは明らかだ。これまではな」

ミサト
「それは、どういうことなのでしょうか?」

キール
「君の質問は許されない」

ミサト
「はい」

キール
「以上だ。下がりたまえ」

ミサト
「はい」

キール
「どう思うかね、碇君?」

ゲンドウ
「使徒は知恵を身につけ始めています。残された時間は、」

キール
「後わずか、と言うことか」

 

ミサトにとって シンジの気持ちを考えれば こんな尋問されるような場所にシンジを連れてこられるはずもない
質問も許されずモヤモヤ感はつのるばかりだけど 何もできることはない

 

フォースチルドレンの件もトウジが選出さてるなんて シンジに言うことも出来ない
リツコは何かを知っていると感じているが ミサトの質問にはシラを切ってはぐらかされるだけだ

 

だいたい エヴァを使って何をしようとしているかさえ不明だ
ミサトにとって出来ることは 目の前の仕事をこなすだけしかない

 

シンジに話づらいどころか結局は言えない

 

ミサト
「何よ改まって」

リツコ
「松代での3号機の起動実験、テストパイロットは4人目を使うわよ」

ミサト
「4人目?フォースチルドレンが見つかったの?」

リツコ
「昨日ね」

ミサト
「マルドゥック機関からの報告は受けてないわよ」

リツコ
「正式な書類は明日届くわ」

ミサト
「赤木博士、また私に隠し事してない?」

リツコ
「別に」

ミサト
「まあいいわ、で、その選ばれた子って誰?」

ミサト
「えっ、寄りにもよって、この子なの?」

リツコ
「仕方ないわよ、候補者を集めて保護してあるのだから」

ミサト
「話づらいわね、このこと」

ミサト
「アスカはいいのよ、EVAに乗ることにプライド賭けてるから。レイは例外としてもね」

ミサト
「いい事ないもの、私たちとEVAに関わったって。それを一番よく知っているのがシンジ君だものね」

ミサト
「これ以上辛い思いは、させたくないわ」

リツコ
「でも、私たちにはそういう子供たちが必要なのよ、みんなで生き残るためにはね」

ミサト
「奇麗事はやめろ、と言うの?」

 

訳わからないものが攻めてきてるんだから 綺麗事も何もないんだけど 人の心は簡単に割り切れるものじゃない

 

不安と焦りと吞み込めない感情が入り乱れる
これをどうにかしようと思っても いり乱れた感情は早々に整理できるわけもない

 

これが思考なら整理のしようもあるが 感情はそうはいかない
それが出来たら誰も悩まなくて済む

こころの葛藤はすべて私の味方だ。

 

感情が混沌としているとき

 

簡単なのは深呼吸をしてみることだけど この時のミサトのような状態ではシンジに対してスッキリするわけもなく 解決にはつながらない

 

また 自分の感情を言葉で表すのも効果的な方法の一つだけど これもまたこの状況では上手くいくとは思えない

 

ミサトはシンジにとって 保護者であり母親的な存在であることから 母親が子どもを思うような気持が一番近いんだろう

 

シンジのことを思いやることがなければ フォースチルドレンのことだって悩むことなく話せる

 

ミサトは結局 言わなきゃ言わなきゃと思いながら シンジに伝えることは出来ないがこれはもうどうしようもない

 

ひとの感情は厄介だ、でも感情があるからこそ人だといえるのかもしれない

 


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