シンジのココロのMAXゲージが振り切れる

 

エヴァンゲリヲン新劇場版:序より

 

使途シャムシエル(SHAMSHEL)の襲撃で シンジはまたエヴァに乗る。そこに トウジとケンスケがいて 思うように戦うことが出来ない。

 

ミサトは ふたりを操縦席へ入れ、一時退却という作戦にでる。操縦席でトウジとケンスケが見たものは シンジが使途と戦う姿だった。

 

 

思いもよらないシンジの行動

 

シンジは使途を振り払ったが、ミサトの「今よ!後退して!」の命令には耳を貸さない。トウジとケンスケは そりゃ言葉もでない。
トウジの「転校生、逃げろ言うてるぜ!」の言葉にも耳を貸さない。
「転校生!!!」と大きな声で言われても
シンジはブツブツと「逃げちゃ駄目だ、逃げちゃ駄目だ、逃げちゃ駄目だ、逃げちゃ駄目だ」とくり返す。
顔を上げた瞬間,
プログレッシブナイフを持ち戦うんだね。

ミサトは叫ぶ。
「シンジくん!命令を聞きなさい!退却よ!シンジ君!」

その瞬間,
シンジは「うわぁ~」と叫んで使途に向かっていく。


ミサトは「あのバカ」ってつぶやくけど、それ以上何も言わない。


この時のシンジは、使途の攻撃をくらってもひるむことはない。
わめきながら、すかさず自分から攻撃を仕掛けていく。

 

トウジとケンスケがいて思うように動けないときは、心の中でいろいろな葛藤があったんだろう。ここで戦ったらトウジとケンスケが危ないとか、でも使徒が攻撃してくるから恐怖はMAXだったろうし。


でも2人がエントリープラグに入ってしまえば関係なくなる。
ミサトの「今よ!後退して!」の命令には耳を貸さない。

 

トウジとケンスケがいて思うように動けないときに、心の緊張はMAXだ。2人がエントリープラグに入ったと同時に、ココロのMAXゲージが振り切れたって感じだと思う。

 

ここで後退しても、どうせまた使徒と戦わなきゃいけないとか、ミサトの命令を聞いた方がいいとか、そんな頭で考える余裕は、このときどこにもない。

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ココロがキャパを超えたとき、そこに思考は追いつけない

 

ココロのMAXゲージが振り切れた瞬間、思考も考えも全て止まり、心の暴走

 

本当は恐怖がなくなっているわけでもなく、人に認めてもらいたいと求める心も、そのままあるはずなのに、感じないように淡々としてきたシンジを許せないかのように、心は制御不能で走り出す。

 

そこに理屈は何もない。ココロが動くときには理屈なんてものは何もないんだ。

 

これを頭で考えれば 自暴自棄ってことになるんだろうけど。社会的には感情がコントロールできない人、って言われるんだろう。

 

でも心がMAXいっぱいになって、それ以上溜め込むことができなくなってしまえば、あふれ出すしかなくなる。俗に言う「切れる」って言い方が近いかな。


頭で考えて 何であのときあんなことしちゃったんだろう、っていくら思考をめぐらしたところで、本当のところは、なかなか見えてこなかったりする。

 

なんでかって、ココロをちゃんと感じて、意識で認識していたらそこまでいかない。ちゃんと感じていれば、自分自身で分かってるってことだから。

 

後から 頭で考え思考をめぐらして納得できたとしたら、それは振に落としたいから。


・あの時は怖かったんだ、そうだよね怖かったよね。
・怖かったけど、やらなきゃやられちゃうし逃げないで戦った。
・怖かったけど頑張ったんだよ。命令は聞かなかったけどちゃんと使途を倒せたんだ。
・ボクは逃げないで頑張ったんだ。etc
    


これはいかにもその通りで、自分が怖かったことも認めている感じで、頑張った自分自身を承認できてる感じだけど、心は腑に落ちていない。頭で納得してそれでよかったんだと思いたいんだ。

 

シンジの場合、心がどこにも腑に落とせないから、感じないようにしてココロのキャパがいっぱいになって、制御不能になったってことだ。

 

使途の攻撃を受けてもひるむことがなく、自分から攻撃を仕掛けていく、ってのがココロのMAXゲージ振り切ってることがよく分かる描写だ。

「無意識」はすべてを知っている