エヴァンゲリオン TVシリーズ
第伍話「レイ、心のむこうに」より
リツコの秘密は
零号機の暴走は リツコを不安にさせる
リツコ
「綾波レイ１４歳、マルドゥックの報告書によって選ばれた最初の被験者、ファーストチルドレン、エヴァンゲリオン試作零号機専属操縦者、過去の経歴は白紙、全て抹消済」
ミサト
「で、先の実験の自己原因はどうだったの？」
リツコ
「いまだ不明、ただし推定では操縦者の精神的不安定が第一原因と考えられるわ」
ミサト
「精神的に不安定？あのレイが？」
リツコ
「ええ、彼女にしては信じられないくらい乱れている」
ミサト
「何があったの？」
リツコ
「分からないわ、でも・・まさか・・・」
ミサト
「なんか心当たりがあるの？」
リツコ
「いえ、そんなはずはないわ」
この会話から、０号機実験の前に リツコとゲンドウは 誰も知らない大人の関係だったことがうかがえる。意識では認識していなくても レイの無意識は何かを感じて 精神状態が乱れていた可能性が高い。
リツコとゲンドウの関係を レイの無意識が感じていたとしたら ゲンドウにだけに心を開いていたレイは 不安にならないわけはない。
レイ自身はそんなこと認識もしていないし 分かってもいないけど、生まれたときからゲンドウはずっといるし、ゲンドウにとって計画遂行のためにはレイはなくてはならない存在だ。
その辺を レイはレイなりに 意識には上がらない心のどこかで 感じていたんだろう。本人が 認識していても 認識していなくても感じてしまうものは 感じてしまうんだ。
あの感情が何もないんじゃないか、と思ってしまうレイでさえ 意識していないところで ちゃんと感じている。心はちゃーんと感じるのだ。ボクらも同じだ。意識していても 意識していなくても 心は感じているのだ。
女性脳の特性と行動 ──深層心理のメカニズム (フェニックスシリーズ)
リツコ、揺れる女ゴコロ
そこで、リツコはどうだろう？
ミサトにも心を開いているようで 実は開いてない。
どこかで一線を引いている。
ゲンドウが 素手でハッチを開けて レイを助けた時、リツコは コントロールルームから ゲンドウの様子をじっと見つめている。これが 揺れる女心ってヤツかもしれないが、リツコは 自分のこうゆう部分を誰にもいわずに 自分の中にしまっている。
リツコのイメージは仕事ができる女性だけど 男の影はあまり感じられない。マヤちゃんもリツコに憧れて仕事依存っぽいけど 今はまだ仕事を覚えるのに一生懸命ってな感じだ。
リツコは仕事もこなすし 女も捨てていない感じだよね。だけど仕事は忙しいし、リツコのおめがねにかなうような男性と知り合うチャンスなんぞ この状況下ではないだろう。
とすればだ、リツコの仕事を認めてくれて リツコを必要としてくれる男性、ゲンドウからアクションがあれば フラっとゲンドウに寄りかかりたくなったのかもしれないし、ゲンドウからアクションがなくても ゲンドウの目指す人類補完計画の秘密を 一番知っているのは 冬月以外はリツコだけだろう。
誰も知らないヒミツを共有していれば それだけゲンドウと一緒にいりる時間も長いだろうし、一緒にいる時間が長ければ そこに何らかの感情が芽生えてもおかしくない。
リツコにとっては ゲンドウの一番近くにいる自負もあるだろうし、自分が一番ゲンドウのことを知っていると感じていたかもしれない。ゲンドウを支えていることが 喜びに変わることもあるだろう。微妙な女心かもしれない。
ただゲンドウにとってリツコは ユイやレイとは全く違う存在だろうと思う。まっ、ゲンドウも男だってことだろうけど、リツコがそれはそれで 割り切れればいいんだろうけど 割り切れないのが女心ってやつかも。
人は一人では生きられない、誰かと繋がっていたいと思うから。
あのレイでさえ「繋がっているだけ」と言うくらいだ。
ゲンドウに仕事で認められ、さらに女として見てもらえたら 心も揺らぐってもんだろう。人っていうのは意識には上がらなくても 無意識で存在意義を求めるから、自分は必要とされている、と感じることで 自分はここにいていいんだと安心できる。
そこに女心が加われば なおさらかもしれない。リツコも 自分自身でこの関係性を消化できればいいけど 消化しきれなくなると爆発する。後にリツコは ダミーシステムを破壊することになる。
リツコのゲンドウに対する愛は 嫉妬から 憎悪に変わる。リツコはゲンドウに 無意識のうちに何かを求めていたんだろう。求めれば求めるほど 憎しみが強くなるのかもしれないな。期待はムチになる、から。
人に対して 期待が大きければ大きいほど 期待が外れた時のショックが大きい。
・彼女に対しての期待
・彼氏に対しての期待
・コドモに対しての期待
・親に対しての期待etc
彼女や彼氏に関しては ラブラブ状態なら 期待も心地よいものになるだろう。が、結婚して数年もたてば
「なんで 育児を手伝ってくれないの？」と 言われれば
まめなダンナなら おーそうか、と思うかもしれないが
「チッ こっちは仕事で疲れてんだ。少しは休ませろ、育児は女房の仕事だろ！」
なんてことを言いたくなるかも。
子どもが親に 分かってほしいと期待しても ほとんどが期待するだけ無駄ってことが多い。まぁ シンジもゲンドウに 分かってほしいと期待するけど、見事にその思いは打ち砕かれる。分かってくれる親なら とっくの昔に解ってくれる。
本当は人に期待するより自分に期待した方が どんな結果になろうとも納得できるんだけど、それがなかなかできないのが人の常かもしれない。
