アスカにとって出来ることの証明は存在意義になる

 

エヴァンゲリオン TVシリーズ

第八話「アスカ、来日」より

 

アスカはシンジに2号機を見せる。

 

 

アスカの行動力は 出来ることの証明してみせる

 

シンジ 
「赤いんだ、2号機って。知らなかったな」

アスカ 
「違うのはカラーリングだけじゃないのわ。所詮零号機と初号機は開過程のプロトタイプとテストタイプ。訓練なしのあなたなんかに いきなりシンクロするのがそのいい証拠よ。けどこの2号機は違うわ。これこそ実戦用に作られた 世界初の本物のエヴァンゲリオンなのよ。正式タイプのね」

この時 海底からの振動

シンジ 
「なっ、なんだろう」

アスカ 
「水中衝撃破・・・爆発が近いわ」

海を見て

シンジ 
「あ、あれは!」
そりゃおっぱじまるよね。

シンジ 
「まさか!使徒」

アスカ 
「あれが、本物の」

シンジ 
「どうしよう・・ミサトさんのところに戻らなくちゃ」

アスカ 
「チャ~ンス」
おなじみのアスカのチャ~ンスだ。

この間ミサトと艦長のやり取りがあるんだけど アスカはシンジを連れていく。

シンジ 
「ねっ、どこ行くんだよ」

アスカ 
「ちょっとここで待ってなさいよ」

シンジ 
「なんだよ、もう・・・」

アスカはすかさずプラグスーツに着替える。
シンジが覗いて怒るけど。

アスカ 
「なんで男の子って あぁバカでスケベなのかしら」

この時のシンジはシンジらしいね。ため息をつきながら何も言わずに待ってる。

アスカ 
「アスカ、行くわよ」

シンジにプラグスーツを渡して

アスカ 
「さあ、行くわよ!」

シンジ 
「えっ?」

アスカ 
「あんたも、来るのよ!」

シンジはため息つきながらアスカの言う通りにする。

シンジ 
「ねぇ、プラグスーツに着替えてどうするんだよ」

アスカ 
「あんたバカ~、2号機であれをやっつけんのよ」

シンジ 
「そんなぁ、ミサトさんの許可は?」

アスカ 
「勝った後に貰えばいいのよ」

アスカ 
「さっ、あたしの見事な操縦、目の前で見せてあげるわ。ただし 邪魔はしないでね」

そりゃ勝たなきゃ話は進まない。
まっ、加持はちゃっかりお先に失礼するけど。

 

次回「瞬間、心、重ねて」
心がてんでバラバラのアスカとシンジは使徒にこてんぱんにのされてしまう。
ミサトはふたりの完璧なユニゾンを目指し一計を講じた。(第九話の予告ナレーション)

 

やっぱりアスカだ。
シンジがいきなりの実戦で彼のシンクロ率は40を軽く超えてる、なんて話しを加持から聞かされたら いてもたってのいられなくなって そりゃシンジにいいとこ見せたくなる。

 

行動力あるアスカのことだ。2号機見せびらかしたくなるのも無理もない。シンジにとってはそんなに興味ない事だろうけど、アスカにとってはとても大事なことだから 弐号機のことを 事細かに説明する。

 

まあこんな時に タイミングよく使徒が出現。アスカにとっては絶好の機会だ。シンジに出来るってとこ見せつける最大のチャンスだ。

 

見てなさいよ、どころか 一緒に弐号機に乗り シンジを隣に座らせて 自分が出来るってとこ見せつけるチャンスだ。こんなチャンス アスカが見逃すわけない。

 

ミサトに対しても 許可は後からでいいと言う。しかも勝ってからでいいと。それだけ自信があるってことだろう。これだけ自身があるってことは それなりの努力をしてきたって自負もあるだろう。

 

アスカにとっては結果を出す最大のチャンス、見せ場ってことだから そりゃ はりきりもする。アスカン大して シンジは対照的で、ため息つきながらもアスカの言う通りにする。シンジは自信がないから アスカの強引さを蹴散らすなんてことはそりゃあ出来ない。

我々はどこから来たか?我々は何者?我々はどこに向かうのか?我々の存在意義は?―現代人類学の人間観―

 

必要とされていると思いたいのは、そこに存在意義を求めているから

 

初めての水中戦で勝つけど アスカにとっては 選ばれて努力してここまできた自負もあるし自信もあるから、勝って当然ってことになるし、それをシンジやみんなの前で見せることが出来るのは 自分が出来ることの証明になる。

 

自分が出来ることの証明が出来れば こんな自分をみんなは必要としてくれる、ってところに繋がる。アスカ自身は もちろんそこまで意識していないし 認識もしていない。

 

これだけ出来ることを証明したい、ということは 裏を返せば アスカ自身どこかで出来ない自分ばダメだと思ってるということになる。もちろん意識ではそんなこと思ってないし認識もしていない。無意識でそう感じているってこと。無意識でいくらそう感じていても 意識に上がらない限り 自分自身でそれを認識することは出来ない。

 

人がとる行動の裏には 無意識が存在することが多い。多いというよりほとんどがそうだろう。無意識が自分自身のことをダメだと思っていれば それは自分の心の奥では自分自身を認めていないことになる。自分自身を認めていないというのは ダメな自分でもいいじゃん、と自分で自分を認められてないってこと。

 

人は誰しも 自分がここにいていいんだ、と思いたい。自分はここにいていいんだ、と思えないと 自分は必要のない人間なんだと思えてくる。

 

自分が必要のない人だと思うのは辛いから、誰かに必要とされたいと思う。だから無意識に 自分の存在意義や存在価値を求める。そのために頑張ったり努力したりする。

 

一般的に 人に頼られたり必要とされることは喜びになるだろう。これはあくまでも一般的にそうだろうと言っているだけで もちろん違う人もいる。

 

人の為に、あなたの為に、とかではなく 自分自身がやりたいからやっているんだと認識している人は、存在意義や存在価値を 自分以外の人に求めることは少ない。なぜなら 人の為ではなく自分がやりたいってことが先になる。自分がやりたいことをできれば それで満足出来るから。

 

人の為に、っていうのはとても美徳な感じの言葉だけど、人の為が一番先だと 自分のことは二の次ってことになってしなう。だから時に【人の為】にすることは 自分が二の次だからやりたくないことだってある。

 

すると あなたの為にこんなにやってあげたのに、とか言いたくなったりする。やりたくないこと我慢して頑張ってやってたら 言いたくもなるんだと思うけどこの言葉には 裏メッセージがある。

 

こんなに頑張ってやってあげたんだから あなたも何かかえしてね、とか ちゃんと認めてねというメッセージだ。ようするに 見返りを求めてることが多い。

 

アスカの場合は 自分の存在意義と居場所を求めているからね。出来ることの証明はとても大事になる。もし出来なかったら認めてもらえない、認めてもらえなかったら 居場所も失うって恐怖が無意識にあるから 必死になる。


  
そして 今まで努力して頑張ってきた自負があるから出来るってことを証明してみせたいし 誇示したくなる。まぁシンジはダメダメで アスカとは対照的だから シンジのシンクロ率40をしのぐ力を持ってるんだ、と見せつけたい。

 

ここにいるとずっと頑張って努力し続けて 出来る結果を残さなきゃいけないからキツイんだけど このときのアスカはそんなこと知るよしもない。

新装 ぼくを探しに