アスカ、イヤなことでも頑張るのはナゼか

 

エヴァンゲリオン TVシリーズ

第拾話「マグマダイバー」より

 

 

アスカにってレイはライバル!?

 

浅間山で 羽化前の使徒が見つかり、生きたままの捕獲を目指し アスカの出番となる。

シンジ
「これが使徒?」

リツコ
「そうよ。まだ完成体になっていない蛹の状態みたいなものね」

リツコ
「今回の作戦は使徒の捕獲を最優先とします。できうる限り原形をとどめ、生きたまま回収すること」

アスカ
「できなかったときは?」

リツコ
「即時殲滅。いいわね?」

シンジアスカレイ
「はい」

リツコ
「作戦担当者は…」

アスカ
「はいは~い、私が潜る!」

シンジ
「でも、また僕なんだろうな…」とつぶやく

リツコ
「アスカ。弐号機で担当して」

アスカ
「はーい!こんなの楽勝じゃん!」

レイ
「私は?」

マヤ
「プロトタイプの零号機には、特殊装備は規格外なのよ」

リツコ
「レイと零号機には本部での待機を命じます」

レイ
「はい」

アスカ
「残念だったわねぇ~、温泉行けなくて」

リツコ
「A-17が発令された以上、すぐに出るわよ。支度して」

シンジアスカ
「はい!」

アスカ
「うん?耐熱仕様のプラグスーツと言っても、いつものと変わらないじゃない」

リツコ
「右のスイッチを押してみて」

アスカ
「うわぁー、いやぁー!何よ、これぇ!」

リツコ
「弐号機の支度もできてるわ」

アスカ
「いやぁぁぁ!なによ、これぇ!」

リツコ
「耐熱・耐圧・耐核防護服。局地戦用のD型装備よ」

アスカ
「これがあたしの、弐号機?」

アスカ
「嫌だ!あたし降りる!こんなので人前に出たくないわ!こうゆうのは シンジのほうがお似合いよ!」

加持
「そいつは残念だな」

加持
「アスカの勇姿が見れると思ってたんだけどな」

アスカ
「いやーっ!でもこんなださいの着て、加持さんの前に出る勇気なんてないわ!」

マヤ
「困りましたねぇ…」

リツコ
「そうね…」

シンジ
「あの…僕が…」

レイ
「あたしが弐号機で出るわ」

アスカ
「あなたには私の弐号機に触ってほしくないの、悪いけど」

アスカ
「ファーストが出るくらいなら私が行くわ」

アスカ
「カッコ悪いけど、我慢してね…」

 

次回 静止した闇の中で
ネルフを快く思わない人々が 第3新東京市の全ての電源を止める。
近代設備が何も動かないネルフに使徒が迫る。(第拾壱話の予告ナレーション)

 

耐熱・耐圧・耐核防護服。局地戦用のD型装備の装備はかっこ悪すぎて アスカはとてもじゃないけど乗りたくないと思う。こんなダサイのはシンジの方がお似合いだとも言う。

 

ぐずるアスカに困っているリツコを見て、シンジが「あの…僕が…」といいかけるが、そこでレイが「あたしが弐号機で出るわ」とたたみかける。

 

このレイの言葉に アスカは間髪入れずに
「あなたには私の弐号機に触ってほしくないの、悪いけど」
「ファーストが出るくらいなら私が行くわ」と答える。

 

レイは何とも思っていないのに アスカだけはレイに対してバチバチの感じで対抗する。ライバルという見方も出来るだろうが 自分の居場所をレイに明け渡すのは アスカにとっては屈辱なのかもしれない。

「ひとりで頑張る自分」を休ませる本

 

アスカがレイにこだわる理由は?

 

アスカはレイのことを「えこひいき」と言うくらいだから、当然レイは みんなに認めてもらっていると思っている。周りに認めてもらい 必要とされることが大事なアスカにとっては レイが鼻についてしまうのも無理はないのかもしれない。

 

アスカの母親は 精神を病んでしまっていたし、そんな母親を見て 子ども心に自分がいい子にすればきっとよくなる、と思うのは ほかに方法を知らない子どもにとっては ごく自然なことになる。

 

これは 機能不全家族やネグレスト、虐待などの環境下に置かれた子どもも同様で、自分がいい子になることで 親や家族に認めてもらおうとするのと同じことで、子どもならではの防衛本能と言えるかもしれない。

 

子供らしさを出せずに育ってきたアスカにとって いい子になればママに認めてもらえると思えば、いい子になるために一生懸命頑張ることになる。

 

頑張った結果、家族や家族以外でも 認めてもらえたと感じることがあれば もっと頑張ろうと思ってしまう。もっと頑張って認めてもらえれば そこに自分自身の存在意義があると思える。

 

アスカにとってエヴァに乗ることは 自分のためだし、エヴァに乗ることで必要とされていると感じるのは とても大事なことで、アスカの存在意義になっている。

 

そんなアスカの弐号機にレイが乗れば、まして作戦がうまくいけば、アスカ自身の存在意義がなくなってしまう。ミサトやリツコ、シンジやレイは そんなこと思っていなくても、アスカ自身がそう思ってしまうのは 誰にもどうしようもない。

 

たとえみんなに「そんなことないよ」と言われても、アスカは納得できないだろう。納得できなければ 頑張り続けるしかないし、嫌なことでもやるしかなくなる。

 

本当は 自分の存在意義がなくなることが怖いのだ。自分の存在意義を求めること自体 個人の主観でしかないが、それを求める人は多い。自分が必要とされないのは 生きている意味さえないと思えてしまうからなのか・・・。

 

そこに 意味を見出すのも 意味を見出さないのも、個人の主観になってしまうが,、求めずにはいられない ヒトの心の不思議なのかもしれない。

いい子をやめれば幸せになれる