エヴァンゲリオン TVシリーズ
第拾六話「死に至る病、そして」より
EPISODE16:Splitting of the Breast
シンジ、レイ、アスカのシンクロテスト
シンジにシンクロ率をあっさり抜かれ行き場のないアスカ
マヤ
「B型ハーモニクステスト、問題なし」
オペレータ
「深度調整数値をすべてクリア」
マコト
「ミサトさん、なんだか疲れてません?」
ミサト
「いろいろとね、プライベートで」
リツコ
「加持君?」
ミサト
「うるさいわねぇ!どう?サードチルドレンの調子は?」
マヤ
「見てくださいよ」
ミサト
「どれどれ…」
ミサト
「お~!これが自信につながればいいんだけどねぇ」
ミサト
「聞こえる?シンジ君」
シンジ
「ミサトさん!今のテストの結果、どうでした?」
ミサト
「は~い、ゆーあーナンバーワン!」
アスカ
「参っちゃったわよねぇ。あっさり抜かれちゃったじゃない?ここまで簡単にやられると、正直ちょっと悔しいわよねぇ」
アスカ
「すごい!すばらしい!強い!強すぎる!あ~無敵のシンジ様ぁ!これであたし達も楽できるってもんじゃないの」
アスカ
「ね~!?まぁね~、私たちもせいぜい置いてけぼり食わないように、頑張らなきゃ!」
レイ
「さよなら」
アスカ
「…」
この時 感情を押えきれなくなったアスカは ロッカーを力任せに殴る。
シンクロテストで高い数値を出したシンジに対して 負けたと感じているアスカ。
シンジにあっさりとシンクロ率を抜かれるなんて アスカにとっては衝撃でしかない。アスカ自身は努力を重ねてきた自負があるからなおさらだ。
それなのにエヴァに乗る意味さえ分からず 大人に言われるままに乗っているシンジは アスカからしてみればなんなの?と言いたいところだろうし、さして努力をしているようにも見えない。
そんなシンジに あっさりとシンクロ率を抜かれてしまえば 嫌みのひとつも言いたくなるのは容易に想像がつく。
不安なアスカは共感を得ようとするが、それはレイによって見事に打ち砕かれる
アスカは「私たちもせいぜい置いてけぼり食わないように、頑張らなきゃ!」と
レイに話しかけるが、レイはどこ吹く風といった雰囲気で「さよなら」と言い、アスカに話しかけられたことなどまるでなかったようにしれっと帰ってしまう。
まあ レイに共感を求めても無駄なことは いつものアスカなら当然承知していることだろうけどこの時のアスカは不安が先にたちそんな状態ではない。
アスカは人に認めてもらいたくて頑張ってきた。それはアスカの心の底にある不安をなくすためでもあった。
今まではそれでうまくいっていた。心の底にある不安を「頑張る」事で満たし心を保っていた。
頑張ることで心の均衡を保っていたのに、その頑張りが通用しなくなってしまった。不安は コップの水があふれ出すようにアスカの心を満たしていく。
こうなると誰かの共感を得て自分はまだ大丈夫だと思いたくなるのは 人の心理として当然の流れだろう。
それをレイに求めても どうなるかは想像がつくだろうけど、この時のアスカにはそんな余裕はない。
レイの見事な塩対応にアスカの心はどこにも逃げ場がなくなる。
出口のない不安は怒りとなり物理的現象を引き起こす。この時のアスカは ロッカーを蹴り飛ばすことで感情を発散させている。
ロッカーを蹴り飛ばしたからといって 一時の感情を吐き出しただけで根本的原因は何も解消されないままだから、心には不安がいっぱい残っている。
怒りの先にあるものに気付く人は少ない
怒りは感情の中でも一番わかりやすい。
いつも何かに怒っている人が自分の周りにも「あ~いるいる」と思いあたる人も少なからずいると思う。
「怒り」は自分が思い通りにならない時に発動することが多い。
アンガーマネジメント超入門 「怒り」が消える心のトレーニング [図解] (特装版)